2008年9月24日水曜日

【「私という病」】

「私という病」という本を読んだ。


中村うさぎが、ホストとの恋愛、デリヘル嬢体験を通して、
獲得した言葉が、つづられている。

利益が上がるなんて、話ではない。
でも、すごくゆさぶされる。

前書きをご紹介する。


それにしても、「体験」というものは、不思議なものである。 
その時には何とも思わなかった光景や聞き流していた言葉が、しばらく時間を経てから急に気になってきたり、徐々に意味を帯びて来たりするものだ。今回のデリヘルの場合、客とのやり取りもさることながら、働く前に受けた研修の際に社長が口にした言葉を、この頃、不意に思い出す。
「まぁ、こんな仕事を選んだってことは、あんたにもいろいろ事情があるんだろうと思うけどね」
 研修がひととおり終わった後、ベッドの上に裸で座って、社長は言った。
「いつ辞めるかという目標を、今のうちから自分で決めといたほうがいいよ。たとえばお金なら、いくら貯まった時点で辞めようとか。それとも、半年だけにしようとか、期間で決めてもいいしね。とにかく、そうやって辞めるべき区切りを設定しないと、ずるずると続けちゃって、五十の声を聞いても辞められない羽目になる。そんなデリヘル嬢が、いっぱいいるんだ。そうなったら、地獄だよ」
「どうして辞められなくなるんですか?」
「ラクだからだよ。今は嫌だと思ってるだろうけど、慣れればラクなんだ、この仕事は」
 結局、私は三日出勤しただけで辞めてしまったため、彼の言う「地獄」を見ることもなかったし、「慣れればラク」という境地にすら達しなかった。が、今頃になって時々、「五十の声を聞いても、客が激減して生活が苦しくなっても、ずるずるとデリヘルを続けている自分」が亡霊のように脳裏に浮かんでくるのだ。それは、私が選択しなかった「もうひとりの私」である。今は黙って佇んでいるだけの彼女だが、そのうちに、口を開いて何事かを話し始めるかもしれない。彼女が私に何を囁きかけるのか……それが恐ろしくもあり、楽しみでもある私 なのだ。
                             
  言葉にする感想は、どこか空々しい。
でも、何か、書き残したい。
このザラザラとした気持ちを。

この本の中で東電OL事件を扱っている。

被害者がまるで憑依したような文章。
オンナのプライドも、悔しさも、喜びも、
にじみ出ている。



「欲情されたいんじゃない、欲情させたいんだ。」
この女としての存在価値をかけた一言が突き刺さる。

気持ちの整理がついて、書く機会ができたら、
また感想を書こうと思う。

なので、今日は、このへんで、おしまい。






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