2014年6月15日日曜日

ちょっと気になるアート入門25「こども展」

◆パリで約20万人を動員した『こども展』


先日、『こども展』を紹介する、
ブロガーイベントに参加した。

この『こども展』は、パリで
約20万人を動員した展覧会を
日本版にアレンジした企画展。

モデルは基本、可愛い子供ばかり。
(※1)

この「こども」という切り口を
モネ、ルノワール、ピカソ、、、といった
錚々たる画家約50名が競演する形だ。

◆異彩を放つ1枚の絵

アンリ・ルソー『人形を抱く子ども』
さて、中に入ってみると、
異彩を放つ1枚の絵に出会う。

「なんだろう、この違和感…」

座っているような、立っているような、
怒っているような、泣き出しそうな、
なんとも言えない表情をしている。

よくわからない。

なぜ、ここに、この絵があるのか?

そんな違和感を抱えながら、
他の絵を見て回る。

◆絵を理解したがるのはなぜか?


ピカソ。

ここで、展示されている作品は、
フロンソワーズ=ジローとの間に、
恵まれたクロードとパロマに、
関わりの深いものだ。

そういえば、ピカソは
このようなことを言っていた。

人はなぜ絵画を理解したがるのだろう。
だれも小鳥の歌を理解しようとは思わない。
草木や花を理解しようとせずに愛せるのに、
なぜ、絵画となると人びとは理解したがるのだろう。

ここでいう“理解”は、“解釈”と
いうくらいの意味だろう。

僕らは、何かにおいて、
理由をつけて、自分の中の
引き出しに入れようとする。

その引き出しに入れる際の
名付け、タグづけこそが、“理解”だ。

おそらく草木や小鳥の歌を、
引き出しに入れておこうとしないのだろう。

ありふれすぎて、
あるいは価値を認めようとしないがために…。

さてさて、あの絵は、
なんなんだろうね…。

気にはなりつつ、
他の絵も見て回る。

◆こどもを悪魔から守る


ルノワール。

彼には、3人の子どもがいた。

左:『遊ぶクロード・ルノワール』 右『道化姿のクロード・ルノワール』

このこどもの絵を見て、気がついた。

男の子が、女の子のように
育てられている。


昔、乳幼児死亡率が高くて、
“小さな男の子は、悪魔に連れていかれる”
まさに、シューベルトの『魔王』の世界を
リアルに信じる時代がそこにあったのだろう。


シューベルト:魔王


ルノワールに関して言えば、
黄金色の子供の髪を描きたかったとも、
子どもの頭を守るためとも、
言われているらしい。

まぁ、その部分も否定はしないが、
こどもが成人するまで成長することを
“神にも祈る”気持ちだったことは
事実だったように思う。


◆ルソーが描いたのは誰か?

アンリ・ルソーの最初の絵に戻る。

ルソーは、7人の子供中、6人を
幼くして亡くすという不幸に見舞われている。
そして、この絵はモデルはよくわかっていない。

ただ、僕自身は、こう思う。

“お父さん、女の子の格好をしたけど
 僕、死んでしまいましたね”と、
隠世(かくりよ)の息子から、
届けられた(と感じた)やるせない
気持ちを描いたものだと思う。

つまり、ここで描かれている
『人形を抱く子ども』は、“男の子”

“男の子”が“女の子”の
格好をさせられている、
だから不機嫌に見えるんだ。

祈った神にも見捨てられた絶望感

いや、それをも飲み込み、
救われない我が子と離れなければ
ならなかった父親としての
怒り、恨み、哀しさを、
あの表情にこめたのだ。

いわば、あの絵は、ルソーと、
“亡き我が子との対話”である。

ピカソのように、“受け止め”た違和感を
僕は、そのように“理解”した。

宗教にも、哲学にも、アートにも、
“違和感→理解”はある。

何を“受け止め”、
どう“理解”するかは、
全てあなた次第・・・。

一度、絵を目の当たりにして、
“違和感→理解”を
体感されてはいかがでしょうか?



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『こども展 名画にみるこどもと画家の絆』

開催期間 2014年4月19日(土)~6月29日(日)※会期中無休
場所  森アーツセンターギャラリー
開館時間 10:00~20:00
http://www.ntv.co.jp/kodomo/index.html

【プチ情報】
朝早く行くか? 夕方行くか?

開演10:00から先着50名、
17:00以降からの先着30名に
プレゼントがあります。

同じ足を運ぶなら、お時間を
ご調整されることをお勧めします。


※1 最後にクイズを1つ。

Q.「こども展」なのに、
大人の絵が1枚あります。

それは、誰が、
描かれたものでしょうか?

こども展の中にある唯一の大人の女性、さて誰を描いたものでしょうか?答えは会場で。

※2.写真は、美術館より特別に
写真撮影の許可得ています。

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