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業界は、いわゆる"3%の壁"を越えられていない。 |
フィットネスクラブの市場規模が4100億円前後で
記事には、各社の対応策が載る。
自分が、この業界に携わっているので、
気になりつつ、この記事を読んだ。
特に2点。
①潜在的に、2倍の需要があるとすれば、
掘り起こせていないのは、なぜか?
『日本生産性本部によると、エアロビクスなどフィットネス
関連分野の参加率(総人口に占める会員数の割合)は
12年に4.1%で、参加希望率の8.2%と開きがある。』
②値下げで会員が増えるとは限らない。
では、どうすればいいのか?
『「この業界では値下げで会員が増えるとはかぎらず、
顧客は最初のプランを容易に変えない」』
①について、一言で言えば、「ギャップ」だ。
少なくとも、ニーズがあるのだから、
消費者側と、提供者側の間に
解消できていない溝をどう乗り越えるか、だ。
業界の内外において、試行錯誤をし、
ギャップを埋める萌芽も見えつつあるが、
現状では、フィットネスクラブの総人口の
参加率は3-4%の壁を越えられていない。
ただ、この周辺には、1度通ったが、
やめてしまった層が、かなりいると思う。
このあたり、ギャップを解消するのは、
思いのほか、戸惑っている。
②について、一言で言えば、「価値提供」だ。
「価値提供」を考える前に、
『3つの差別化戦略』について、
お話ししたい。
差別化戦略とは、お客様に自社・自社商品を
選んでいただく必然性を作り出すことであり、
視点を変えれば競合とどう戦うか、ということです。
そのための3つの差別化戦略の軸
1)手軽軸:早い、安い、便利、で差別化
2)商品軸:高品質、最新技術で差別化
3)密着軸:顧客の個別ニーズに応えて差別化
記事の施策は、ざっくり言えば、
①低価格化、②24時間営業化、③専門特化。
先ほどの3つの差別化戦略に照らすと、
手軽軸…気軽に通える低価格。通いやすい営業時間。
商品軸…ヨガなどの専門特化。
密着軸…ここでは、該当なし。例)パーソナルトレーニングetc
と考えられる。
軸としては、悪くない。
ちなみに、スポーツクラブ業界で、
注目を浴びているところは、どういったところか?
【成果保証型ダイエット ライザップ】
【サーキットトレーニング カーブス】
この2社の面白いところは、
提供する“商品”と
提供する”人へのサービス”の
軸をわけ、両立できているところだ。
通常はそうではない。
なぜか?
例えば、「商品」が” 気軽軸”の場合、
いわば、効率性で、その特性を確立しているため、
本来「人へのサービス」が、”密着”とは、
なかなか相容れないからだ。
もちろん、この3つは、併用も可能なので、
最初から、ムリな話をしているわけではない。
話を戻す。
「商品」を見た場合、
成果保証型のライザップは、いわば”商品軸”。
女性専用、サーキットトレーニングの
カーブスは、いわば”手軽軸”だ。
しかし、
「人へのサービス」は、” 密着”、
”
寄り添う”ことにかけては、共通している。
それは、お客様を、お客様として、
最高のおもてなしを提供する、
”商品軸”ではないということだ。
言うなれば、”仲間、家族、生徒”に近い関係だ。
これが、スポーツクラブに、健康ではなく、
コミュニケーション、いわば"居場所"を
求めていると思う理由だ。
つまり、"健康"を切り口に、
新しい仲間や、仲間を作るきっかけを
求めているのではないか?
もしくは、"仲間"というきっかけが、
運動を継続させてくれているのかもしれない。
ちょうど部活をやめにくくなる状況のように。(^_^;)
もちろん、アンケートの回答に、
そんな答えはあまりでてこないだろう。
ただ、ここ以外の成功している企業の事例も、
合わせて考えると、そう思えてならない。
だから、人に” 密着”しない24時間化や、
単なる低価格化は、フィットネスの初心者に、
受け入れられるかは未知数だ。
もちろん、クラブに通ったことがある上で、
時間の無い層や、価格が安い方がいい、
まわりに人がいない方がいい人には、
喜ばれるかもしれない。
いずれにせよ、フィットネス業界が、
“3%の壁”を抜け出すには、
多様なプレーヤーの、
多様なアイデアが必要なことだけは、間違いない。