夏目 漱石(なつめ そうせき、1867年2月9日(慶応3年1月5日) - 1916年(大正5年)12月9日)
草枕の世界
夏目漱石の『草枕』は、
「山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば、角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。」の有名なフレーズからはじまる。
そして、中略し、
「とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、
安い所へ引き越したくなる。」とくる。
なんだか、転職を勧められている気がしないわけでもない。
『人の世を作ったものは、神でもなければ鬼でもない。
やはり向う三軒両隣りに、ちらちらするただの人である。
ただの人が、作った人の世が住みにくいからとて、
越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。
人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。』
と続く・・・。
つらいといっても、どこも、たいしてかわらない。
だから、この世、この場で、がんばれ。そう言われている気がする。
自分も、転職を経験しているので、
あまり大きな反論もできないのだが、
「職場環境を変えることが、成長につながる」的なことを、のたまう方々は、多い。
緊張感が、周囲への観察力を高め、競争力を研ぎ澄ますのだと。
一理ある。
正社員という立場を、「特権」とすることで、
企業にも、個人にも、惰性が生まれるリスクは、
常にあるので、いわんとする事は、理解できる。
衣食足りて礼節を知る
しかし、マズローの5段階の欲求にある通り、
生命体として、健全な安心感が、付与されることを経てこそ、
組織や社会への純粋な貢献意識が、醸成されるのではないか。
(雇用の安定が、生命の安全に直結するとは考えるのは、
早計と思われるかもしれないが、精神衛生的には、安定すると思う。)
「衣食足りて礼節知る」
この格言は、一面の真実を表している。
だから、どうする?
個人と社会は、相似形だ。
特定の個人におこりうることは、
自分にも、当然起こりうる。
そう考えるからこそ、
自分の半径5mの先の人々と、
家族の幸せを目指す行動を、
「おたがいさま」とバランスをとって
行うことが、個人にとっても、
社会にとっても、幸せが増進すると思うのだ。
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