2013年4月12日金曜日

【多崎つくるとは、「日本」である。】



村上春樹は、いろんなことをメタファーとして盛り込む。
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」、読みました。
ネタバレしない程度に、うがった感想を少々・・・。

「歴史は、消すことも作りかえることもできないの。
それは、あなたという存在を殺すのと、同じだから。」

その昔、5大国と呼ばれていた日本は、
なぜ、その地位を脅かされたのだろうか?
その謎は、今もって、明確な答えはない。

「色彩」とは、特徴、個性。

故郷 名古屋を離れ、東京で、大学生活を送る主人公。
特徴はない、あえて言えば、仲間の中で裕福なことくらい
それ以外、特徴のない自分がこの仲間に入れた奇跡を、
心底うれしく大事に思う彼は、「脱亜入欧」を果たした、
第一次世界大戦後の日本そのもの。

名古屋の高校生として、自分を含め、5人の
才能あふれるグループの中にいれてもらった彼は、
20歳のころ、友人から突然、断絶をうけて、自殺を考えるようになる…。

その理由は、わからない。自分でも確かめていない。
今となっては、確かめようもない。

つまり、色彩(特徴)のない
主人公 多崎つくるは、日本のメタファー。

だとしたら、「巡礼の年」とは何を意味するんでしょうか?
ますます、謎が深まりますね・・・。

村上春樹は、一冊の本の中に、いろんなことをつなげ、
推理小説のようにも、歴史小説のようにも、
官能小説のようにも、恋愛小説のようにも、
読める楽しさと、ぐいぐい引き込まれるスリリングさがある。

もちろん、これは、かなり奇をてらった読み方といわれるのは、百も承知。


村上春樹 多崎つくる


でも、彼の狙いが、ノーベル文学賞)ならば、
案外なくもないと思うのですが・・・。
さて、みなさんは、どう読まれますか?



2 件のコメント:

runot さんのコメント...

ぼくも、小説に登場する人物が
世界を比喩していると思いました。
ものづくりが得意なつくるくんは、
日本を暗に示唆しているように感じました。

シロが理不尽に殺されてしまったことについて、
つくるもクロも、
「自分にも責任があったのではないか」と
発言しています。
世界中の国がこのように
他国の痛みを親身に考えられたら、
もっと戦争が減るだろうに、と思います。

中島大希 さんのコメント...

runotさん、そうですね。

国が一つになれば、戦争もなくなる、
でも、それがいやな人もいる。

長い間、人類が解決できない問題です。

僕らが生きているうちに
解決できないでしょうが、
未来に希望は持ちたいですね。