2013年9月14日土曜日

【アファーマティブアクションが持つ不公平感について】

昨日のブログについて、facebookを通して、
少なからず、コメントを頂きました。

今の社会を考える上で、とても示唆に富んでいると感じ、
少し掘り下げて考えてみることにしました。

ポイントとしては、3つ。

1.アファーマティブアクションが持つ不公平感について
2.アファーマティブアクションめぐる人々について
3.女性車両の実際的な価値について

まず、アファーマティブアクションとは、積極的差別是正措置。
平たく言うと、社会的弱者の救済策。
例としては、教育機関で行われているマイノリティ出願者への優遇策。

そもそも、アファーマティブアクションの理論的背景になった
ジョン・ロールズの考え方を見てみましょう。

ジョン・ロールズ(John Rawls, 1921年2月21日 - 2002年11月24日)は、アメリカ合衆国哲学者。主に倫理学政治哲学の分野で功績を残し、共同体主義に大きな影響を与えた。

ロールズは、2つのコンセプト「無知のヴェール」と「格差原理」を提示します。
これは、社会で平等がなされるための一種の思考実験です。

最初に、自分がどんな地位や立場にいるか
わからない状態(無知のヴェール)で、
人々が合意できることは、
①平等に「自由」を得ていること、
②もし、誰かがすごいお金持ちになり自分が極貧になっても、
自分を助けてくれる仕組みがあること。(格差原理)
だとロールズは考えました。

ロールズは、個人の努力さえも、例えば、生まれなど、
自らに起因するものではない、そして、その才能は、
「社会的弱者」に還元されてこそ、意味を持つのだと考えました。

彼の「正義」論は、経済や人種など幅広い分野で、
格差が拡大しつつあった1960-70年代のアメリカで浸透していったそうです。

では、本題に戻ります。

1.アファーマティブアクションが持つ不公平感について

50人合格のアメリカ企業入社試験で、10%以上の黒人を合格させなければいけない。
>上位46位の白人は絶対入社できない。黒人は、上位50位まで入社可能性がある。
>それって公平?それとも不公平?

「公平」か「不公平」か、と言えば、その立場によって考え方は異なる。

『アファーマティブアクションを支持者が掲げる3つの理由』
1)テストの差を補正する
2)過去の過ちを補償する
3)多様性を促進する
があるそうです。

これに照らして考えると、どうなんでしょうか?

多様性を取り入れることで、企業は成長することはありますし、
また、テストだけで、合格者を決めることも違うという意見もあります。
マイノリティは経済的ハンディキャップから、十分な教育を受けるチャンスを
得られないということもあるでしょう。
(もちろん、例外はどのケースでも多く見受けられますが…。)

ちなみに、かの偉大な演説家、若き日のマーチン・ルーサー・キングJrは、
アファーマティブアクションの恩恵で、大学入学を認められた一人だそうです。

ただ、実際問題として、アメリカでは、仮に、企業がこれを実行せずに、
「差別」を助長する企業と認定されると、
巨額の賠償金を払わなければなりません。
おそらく、不買運動にさらされもするでしょう。

ここまで来ると、これは「公平」とか「不公平」とは何か、の問題ではなく、
今、正しいとされる『差別のない社会』へ、どう対応するという、
リスク対策の話になり下がります。とても悲しい現実ですが・・・。

また、その事実を裏付けるように、アメリカの履歴書には、
生年月日も、写真を貼るところもないそうです。

それは、
『差別のない社会』を実現するために、人種・宗教・年齢・性別で、差別をすることは許されないからです。

これが、世界で『すでに起った未来』です。

それゆえ、何かあったときに、自分の感じる「正義」を、
きちんと、「社会通念」「公益」に照らして、
社会(他者)に説明する備えが必要だと思います。

結論で言えば、アファーマティブアクションについての是非、即ち
「公平」か「不公平」かを考えるのは、立場で異なる。
「公平」か「不公平」かで論ずるには、あまりにも多くの問題をかかえている。
自分(自社)の考えと、社会の価値観に沿った考えを
説明する場合に、備えておくことが大事。
 

すみません。思いのほか、長くなりましたので、

またの2つの次の機会で。

0 件のコメント: