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岡本一平画「漱石先生」 |
大正・昭和にかけて人気を博した漫画家 岡本一平。
40歳前後の世代には、教科書に掲載された、“夏目漱石” を通して、
彼の作品を見ている人も多いのではないか。
岡本一平画 松本幸四郎「渡辺綱(戻り橋)」 |
松本幸四郎7代目(1870-1949) |
一平の絵の特徴は、舞台写真と比較してもわかるように、
少ない筆数にも関わらず、どの役者の、どの演目か
判定できるほど、明確に特徴を捉える観察眼の鋭さ、
描写力の確かさ、そして、どこかユーモラスな画風でしょうか。
画像は、ちなみに、『松本幸四郎「渡辺綱(戻り橋)』とは、
松たか子さんの父、ではなく、七代目。
(年代的に考えれば、当然ですよねぇー(^_^;))
「其人に似せることはできても、其人の癖を取って描くことはなかなか出来るものではない」と、坪内逍遙も、大いに認めていたという。
岡本一平は、「漫画とは世態人情を穿つ絵をいふ」と考えていた。
同時代性を重視し、朝日新聞の社会面にコマ画を描き、
やがて漫画に短い文章を添えた「漫画漫文」は、
当時の新しいスタイルとして、大いに受け入れられる。
(今の時代でいえば、山藤章二さんが一番近いのかな…。)
そういえば、麻生元総理が言っていた「漫画は世相を映す鏡だ」とも、一脈通じる。
また、昨日の、『3つのフレームワーク』で考えるならば、
1.表現者→岡本一平本人
2.評価者→坪内逍遥
3.支援者(スポンサー)→新聞社~一般大衆。
話はそれるが、“評価するから支援する”ので、「評価者=支援者」といえなくもない。
そのことを、よりイメージしやすい形でお伝えすると、
2の評価者は、ブレイクのきっかけ、初期の応援者、才能の発掘者。
3の支援者は、経済的なサポーター、生活の糧を得る手段を支える利害関係者、となる。
話を戻す。
岡本一平は、他にもエピソードに事欠かない。
現代につながる話で言えば、甲子園にある「アルプススタンド」。
「岡本一家」 左:一平 中:太郎 右:かの子 |
また、幼少期の手塚治虫は、一平の『一平全集』を読んで影響を受けたと語っているし、
芸術家 岡本太郎の父として、文筆家の岡本かの子の夫としても有名なところだ。
社会的なところで、お話しすると、日本初の漫画団体の結成にもかかわっている。
観察眼鋭い彼自身が、個性のあふれる周囲の人物から
大いにインスピレーションを受けたであろうことは推測できるが、
それに勝るとも劣らない大きな影響を
表現者に与えたということも、また、間違いのないところだろう。
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